大腿骨頚部骨折

私たち理学療法士にとっては、最も聞きなれた骨折の一つですが、どんな骨折か知っていますか?
名前を聞いたことくらいはあるのでしょうか?

高齢者の四大骨折の一つで、足の付け根の骨折のことを言います。
厳密には骨折の部位の違いによって、「頚部内側骨折」「転子部骨折」「転子下骨折」等に区別されます。

今回は、中でも「大腿骨頚部内側骨折」の治療法を紹介します。

1.人工骨頭挿入術

 この骨折は、関節内で起こり骨癒合が得られにくいため、折れている部分を切り落とし「人工骨頭」と言う人工の骨(ステンレス)を挿入する手術法を選択されることがほとんどです。

 手術後は、翌日からリハビリが開始されます。
 普通は翌日から荷重が許可され、立位や歩行訓練を開始します。
 個人差はありますが、術後3~6週でほぼ痛みなく独歩もしくは杖歩行を獲得し、元の生活に戻れます。

2.骨接合術

 若年者や骨折部の転位(ズレ)が少ない場合は、スクリューなどで固定する方法が選択されます。

 この場合も翌日からリハビリは開始されますが、固定が少し不十分であるため3~6週間は荷重が制限されます。
 術後6~8週で杖歩行を獲得し元の生活に戻れますが、骨壊死の可能性があるため、1年間くらいは注意が必要です。

3.保存療法

 滅多に選択されませんが、骨折部のズレがほとんどない場合や内科的な問題で手術が行えない場合に選択されます。

 骨折部のズレがない場合は、一定期間の安静により骨癒合が得られれば元の生活に戻れます。
 骨折部のズレが大きい場合には、歩行獲得は難しく、車いすでの生活が最終目標となります。

70歳以上の高齢者に非常に多い骨折です。
骨密度が低いと転ばなくても足をひねっただけでも骨折すると言われています。
こうした骨折が起こらないよう、若いうちからカルシウム摂取しておきましょう。
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