患者さんの歩行速度をあげるには?

今日は暑かったですね。
車の温度計は32℃でした。

そんな中、週末のマラソン大会に向けて7km走りましたが、暑さと練習不足のために全然速く走れませんでした。
練習していても速く走れないとモチベーションも上がりませんが、もう少し頑張ってみようと思います。

さて、私はなかなか速く走ることが出来ないのですが、私が担当している入院患者様は、昨日から劇的に速く歩けるようになりました。

今回の入院の原因疾患は腰椎圧迫骨折ですが、骨折の受傷以前から徐々に歩行能力が低下し、転倒によって骨折を受傷されました。
入院して1週間程で病院内の日常生活動作は独歩で自立。
歩行能力も向上し、本人も家族も「受傷前より動けるようになった」とリハビリの効果は実感されていました。
歩行スピードもそれなりに改善はしていましたが、まだ遅いのが気になっていました。

そこで、先日のニューロサイエンスセミナーで教えてもらったことを早速試してみました。
すると、驚くくらい歩行スピードが上がりました。

何を行ったのか?
実は、簡単なことです。

患者様の歩行スピードを測りました。

回目は特に指示を与えず、いつものペースで歩きました。
そして回目、「1回目よりほんの少し速く歩けるように頑張ってみよう」と声かけしました。

それだけで、回目(45秒)より回目(35秒)、速く歩くことができました。
いや、それだけでは、あまりすごくないと思うかもしれませんね。

さらに回目。
自ら「もう一度やってみたい」とおっしゃったので、やってみると、結果は33秒。

歩容も劇的に改善し、足のクリアランスもかなり良くなっていました。

そして翌日の今日。
まず、患者様から報告があった言葉。
「昨日速く歩けて嬉しかったから、(もっと速く歩けるように)お尻挙げの運動を頑張ってやったからか、すこしお尻がだるい」
「今日はきっと速く歩けないから、歩きたくない」

筋肉痛か疲労を残してしまったかな?っと内心反省しながら、少し機能訓練を実施後、一度だけ歩いてみようと促して、再び歩行スピードを測りました。

結果は、36秒。
昨日の回目よりも良かったことを伝えると、「もう一度歩きたい」と言われて、
回目、 34秒。
そして、さらに自ら望んで3回目、 31秒。

もう最後は、半分走りかけているような感じで、足もしっかり運べていました。

では、何が良かったのか?

目標を明確に設定。
具体的に、そして確実にほんの少し良くなっていることを伝える。
(講義では、“他人よりほんの少し勝っていることを伝えるのがいい”、とのことでしたが、比較対象がなかったため、今回はご本人の1回目の記録と比較しました。)

そして、“達成感を得ることで、脳(中脳のドーパミン細胞)が活性化され、更なるモチベーションの向上をもたらす”とのこと。
患者様が自ら「あともう1回歩きたい」とおっしゃったこと、お部屋でもお尻挙げの自主トレをされたこと、は、このモチベーション向上がもたらした結果なのではないかと感じました。

声かけの仕方一つだけでも、リハビリ効果に変化が出ることを実感しました。
もちろん、それ以前の環境が整っていることが条件になると思いますが、色々な患者様にも応用していきたいと思います。

そして、私も、自己ベスト更新を目指します!!(笑)
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